The Happytime Murders/パペット大騒査線 追憶の紫影(パープル・シャドー)(2018年)

「The Happytime Murders」は2018年8月にアメリカで公開された、パペットが登場するR指定映画です。2019年3月には「パペット大騒査線 追憶の紫影(パープル・シャドー)」というタイトルで日本でも公開されました。(日本ではPG-12指定でした)
ストーリーは、パペットと人間のバディもの。エロ、グロ、暴力、ドラッグ描写がある大人向け作品です。最低映画を表彰する「第39回ゴールデンラズベリー賞」最低作品賞、最低主演女優賞、最低助演男優賞、最低映画監督賞、最低脚本賞、最低スクリーンコンボ賞と多数ノミネートされ、最低主演女優賞を受賞しました。

予告編

THE HAPPYTIME MURDERS Official Trailer (2018)

この作品はマペッツやセサミストリートとは無関係です、が、単なるパロディではなく縁が深い作品でもあります。

参加スタッフ

まず、監督はジム・ヘンソンの息子であるブライアン・ヘンソン。(パペットのカニおよび本人写真でカメオ出演もあり。)彼は「マペットのクリスマスキャロル」等マペッツ作品で監督もしていますし、マペティアとして映画や「ジム・ヘンソンのストーリーテラー」「マペット放送局」などにも参加しています。

ブライアン・ヘンソンのインタビュー(日本語字幕)
10年以上前から企画されていたこの作品の意図が語られています。

インタビュー映像<ブライアン・ヘンソン監督>映画『パペット大騒査線 追憶の紫影』

主演パペットのフィルを演じているのはビル・バレッタ。マペッツではペペ、ロルフ、Dr.ティースを演じ、近年のマペッツ作品ではプロデューサーも兼任しています。
また、セサミストリートのエルモや「マペット放送局」のクリフォードを演じていたケビン・クラッシュがパペットキャプテンとして、また「The Happytime Gang」出演者のバンブリーパンツとライルを演じています。(なお、クラブのシーンにカメオ出演しているそうです)

大人向けのパペット作品

特に日本ではマペット、パペットが登場する=キッズ向けのイメージが強いかと思いますが、カーミットがデビューしたのは深夜番組内でしたし、「マペットショー」「マペット放送局」は全年齢向けのコメディ。またリアルな造形のマペットが多数登場する「ダーククリスタル」「ラビリンス 魔王の迷宮」「ジム・ヘンソンのストーリーテラー」などもあります。劇中に登場したパペット主役の番組「The Happytime Gang」もキッズ番組ではなくシチュエーションコメディのようでした。

今作はジム・ヘンソン・カンパニーの大人向け部門であるヘンソン・オルタナティブ(The Jim Henson Company | Henson Alternative)の作品です。同部門では既に多くの作品を制作しています。が、いずれも日本未公開。ネットで見られるものもありますので検索してみてください。

深夜トークショー番組「No, You Shut Up!」

Ben Schwartz faces elimination

大人向けステージショー「Puppet Up!」

The 2014 Opening Night Comedy Allstars Supershow – Henson Alternative's Puppet Up
劇中描写について

日本公開の宣伝文句にもなっているように、パペットだからできる過激で直接的な描写が多くあります。鑑賞前はそれが笑えるのだろうな…と思っていたんですけど、見ているうちに「パペットなら大丈夫と思うのは、パペットを差別している劇中人物たちと同じなのでは?」と感じ始めて結構真面目に見てしまいました。いや、色々ひどいんですけどね。オフィシャルパロディみたいなものですし、真面目にバカをやっているような印象を受けました。

パペットと人間が共存する世界が舞台ですが、パペットは人間より下に見られ、差別を受けることが多い様子。ただし劇中では同等に仲良くしている姿も見られますし、結婚することも可能なようです。殺されたら、動物型であれ人間型であれ殺人事件として扱われています。
この世界のパペットたちは“中身”が明らかになっています。綿が詰まっていて骨はなし(内臓はあるようですが)、撃たれれば痛い、バラバラになれば死んでしまう。マペッツであれば高いところから落ちたり体が変形しても大丈夫でしょうが、この世界のパペットたちには致命的です。また、パペットにとってポルノ的なものの需要もあれば、ドラッグにあたる物質の依存者もいます。

登場するパペットたち、特に人間的な見た目のキャラの動きはかなりリアルに寄せています。マペット的な上下に跳ねるような歩き方や大きな動きは少ないです。

フィルがネット上のコメントに答える動画と、ロルフの朗読動画。どちらもビル・バレッタが演じています。比べると動きの違いがわかりやすいかと思います。

Detective Phil Philips Responds to IGN Comments
"The Haunted Mansion" Dramatic Reading | with Rowlf the Dog | The Muppets

※ここからネタバレ含みます

メイキング

VFXメイキング
パペットはロケ、セット以外もグリーンバックで実物が操演されていますが、CG(モーションキャプチャー含む)で置き換えたカットもあることがわかります。

The Happytime Murders – VFX Breakdown by Stargate Studios

パペット制作メイキング
ウレタンを裁断する様子も見られます。セサミやマペッツではここまでメイキング見せてくれないので貴重です。

メイキング映像<パペット制作編>映画『パペット大騒査線 追憶の紫影』

NGシーンほか(上の動画と重複する部分あり)
セットは操演者が立ったままパペットを動かせるように高く作ってあるそうです。(通常、人間と共演する場合は身をかがめたり、座った状態で台車に乗って移動したりします)

The Happytime Murders Behind The Scenes B-Roll With Cast and Crew

パペット制作はジム・ヘンソン・クリーチャー・ショップ。登場するパペットは新規制作されたものが約3割、他はキッズ向けを含む過去作品からの流用のようです。

ジム・ヘンソン・クリーチャー・ショップについては下記の記事で紹介しています。

ジム・ヘンソンズ・クリーチャーショップ/Jim Henson's Creature Shop

参考
The Happytime Murders | Muppet Wiki | FANDOM powered by Wikia